環境(CSR)レポートの経営的なメリットとデメリット
環境レポートを作成するメリットを考えてみましょう。
- 営業活動に役立つ
- 投資判断に役立つ
- 企業イメージ、ブランド価値の向上につながる
- 従業員のモチベーションが向上する
などの効果が考えられます。この他に学生の就職活動用資料としてのPR効果があります。
多くの環境レポートはほとんど読まれていない。
ところが、環境(CSR)レポートは、あまり読まれていないことが最近わかってきました。
環境(CSR)に関する調査(環境管理責任者を対象)-当社調査-
Q : 所属組織(グループ)は環境(CSR)レポートを発行している。
【Yes】10社,【No】7社
Q : 所属組織(グループ)の環境(CSR)レポートを読んだことがある。
【Yes】10社,【No】7社
Q : 他社の環境(CSR)レポートを読んだことがある。
【Yes】7社,【No】10社
調査期間:2008年8月18日-2009年年6月4日 、対象組織:17(うち官公庁2)
現在、いろいろの組織が環境(CSR)レポート大賞などの促進活動を積極的に実施しているにもかかわらずです。 発行されているほとんどのレポートが金太郎飴的になって、読んで面白くないといわれます。 その原因の一つは、ガイドラインにもあるといってよいでしょう。
トリプル・ボトムラインを提唱した英国サスティナビリティ社のエルキントンは、標準化・画一化の落とし穴をみごとに言っています。
「私は規格というものが嫌いだ。市場やビジネスの場でたくさんの選択肢があるのに、規格ができることで、そのいくつかを捨て去ることになってしまうためだ。柔軟で幅のある取り組みを萎縮し、ビジネスの面白さを損なう可能性もある。」(環境新聞2005年5月25日)
もちろんガイドラインが、他社との比較可能性、自社のパフォーマンスについて継続性、透明性向上などに果たした役割を否定するものではありませんが、問題は形式的にガイドラインに従って、環境レポートを作成すればよしとする傾向があることです。
また、環境(CSR)レポートに巨額の費用をかけている状況などから、今後は発行部数の低下などの事態がおこるのではないかと予想しています。
ガイドラインは活用すべきもので、従うものではない
しかし、巷には大変おもしろい貴重な環境(CSR)レポートがあります。それらは、独自のスタンスで報告活動を実施しています。
概して、EU(欧州連合)の環境活動は、規則・規律・標準化などを要求するため、画一的・形式的に陥るきらいがあります。われわれ日本人はEUの動向にすぐ同調するのではなく、自ら考え、多様性・自主性・自在性などの価値をもっと大切にしていくべきだと思っています。
このような立場から、当社はガイドラインに必ずしも縛られない活力のあるレポートの作成を提唱しております。
(参考)環境レポートに関係する法令・公的ガイドライン等
環境報告書作成関係
- 環境省「環境報告ガイドライン(2012年版)」(PDFファイル)
- GRIサステナビリティ リポーティング ガイドライン第4版(G4)(PDFファイル)
中小企業向け環境レポート
環境省「環境活動評価プログラム」第5章(PDFファイル)